ヴァイオリニスト奥村智洋のブログ「こんな日々です」

音楽のこと・趣味の鉄道写真のこと・etc.

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この度の佐村河内贋作騒動について 2014.2.9 

私は普段当ブログでは、他愛もないことばかり書いていますが(^^ゞ
今回だけは少々真剣に書いてみたいと思います。

先週(自称作曲家の)佐村河内 守氏は、これまで自作として発表してきた作品群がすべて・・・
じつはゴーストライターが作曲したものであったと自白しました。

ですが私自身は、佐村河内氏の売り出し方や、マスコミの取り上げ方には・・・
かねてから相当胡散臭いものを、薄々感じてはおりました。

なので私はこれまで、彼の作品(とされてきたもの)は、一度も聴いたことがありませんでしたし・・・
彼を取り上げたテレビのドキュメンタリー番組なども、一切観たことはありませんでした。

私は非常に不器用な人間ではありますが・・・
こういった“胡散臭さ”には、嗅覚が正確に作動する能力を、一応持っているんですね。

実際私はこれまで、アメリカの音楽界においても、また日本の音楽界においても・・・

「これは実態とかけ離れていて、アンフェアだし、やり方が汚いんじゃないの?」
というような、眉唾ものの売り出し方をしている人達を、何度となく目撃してきましたから。

なので佐村河内氏が、自分のこれまでの作品は贋作だと告白したのを、ニュースで知ったときも・・・
「あぁやっぱりね、さもありなん」
という感じでした。

正直私は初めのうちは・・・
この事件にはさほど大きな関心を、持っていなかったんですね。

ですが先週木曜日発売の、週刊文春を読んで、事件の真相を知ったときには・・・
「う、う、ウソでしょ?!」
と、私は腰が抜けるほど、驚いてしまいました(+_+)

佐村河内氏のゴーストライターをしていたのは、じつは私の友人、新垣 隆さんで(@_@)
しかも彼は私と知りあうずっと以前から・・・
なんと18年もの長きにわたって、佐村河内氏のために作曲し続けていたんですね!\(~o~)/

じつは私は2006年から2009年頃、4年間ほどの間はずっと・・・
自分のリサイタルや、室内楽のコンサートの機会があるたび、毎回のように新垣さんにピアノ演奏(やピアノ伴奏)をお願いして、引き受けてもらっておりました。

その頃私は新垣さんとは、頻繁に会う機会がありましたし・・・
親しく話もしていたわけですね。

ですがそれにも拘らず、彼は普段どのように生活をしていたのかは、謎のベールに包まれていて・・・
私は彼の私生活については、ほとんど何も知りませんでした。

――無声映画や、アマチュア合唱団の指揮といったアルバイトをしていること位は、彼から教えてもらってはいましたが――

「一体彼は、普段は何をしているんだろう?“鶴の恩返し”の如く、自宅では秘かに鶴に変身し、機織りでもして、誰かに貢いでいるのではあるまいか?」
などと、当時の私は、新垣さんのことを訝っていたんですね。

今回ようやくその謎が解けました。

じつは彼は長年の間、機織りをしていたわけではなく(^^ゞ
佐村河内氏のために、身を賭して作曲をして・・・
(ある意味では)佐村河内氏に貢いでいた、というのが実態だったわけです!!

「今更こういうことを書いてるけど、お前が新垣さんと親しかったなんて、ウソではないか?」
「新垣さんが有名人になったんで、ついでにお前も便乗商法に乗っかりたいだけなのではないか?」
などと、私に対して疑念を持つ方も、おられるかも知れません(~_~)

なので一応この際、私が新垣さんと度々共演していたという“証拠映像”を、ここにリンクしておきます↓

①2006年1月28日 第9回代官山ヒルサイドテラスサロンコンサート
トゥリーナ ピアノ三重奏曲 第1番 第1楽章
http://www.youtube.com/watch?v=Tdhu7SIOnCk

②2009年1月24日 第12回代官山ヒルサイドテラスサロンコンサート
貴志康一 漁夫の唄
http://www.youtube.com/watch?v=Fm99gEa-vL8

③2009年9月26日 第13回代官山ヒルサイドテラスサロンコンサート
バッハ ヴァイオリン協奏曲ニ短調BWV1052 第1楽章
http://www.youtube.com/watch?v=x1cn-VkfhdA

これら↑をご覧いただくと、多少なりとも音楽の良し悪しが分かる方であれば、・・・

新垣さんが非凡な才能を持った、類まれな音楽家であることが、ご理解いただけるのではないかと思います。

とくに最後③のバッハについては、新垣さんは譜面通り演奏しているわけではなくて・・・
オーケストラスコア(総譜)を置いて、それに目を通しながら自由に、即興で演奏しているんですね!
こうしたことが出来ること自体、凄すぎるとしか言いようがありません\(◎o◎)/!

実際私は自分の人生を振り返ってみても、新垣さん以上に、音楽をやるために生まれてきたといえるような・・・
真に天才といえるような音楽家には、未だかつて出会ったことがありません。

「新垣さんは、ベートーヴェンに匹敵するほどの、音楽の才能の持ち主」
というのは、決して言い過ぎではなく・・・
まごうことなき真実のように、私には思えます。

ですが資本主義・商業主義に、どっぷりと浸かってしまっている今の世の中では、その希有な才能が真っ当に評価されるような機会は、あまりにも無さ過ぎますし・・・
その才能が正しい方向にすくすく育って、開花するというような環境には、今の世の中はなっていないんですね。

実際新垣さん自身が本当にやりたい、前衛的な現代音楽を、いくら作曲したとしても・・・
一回自主公演を開くところまでこぎつけるのが、精一杯でしょうし。

桐朋学園大学の非常勤講師をして、授業を週数時限受け持ったとしても・・・
とてもそれだけで生活出来るような給料も貰えないでしょうし。

なので仕方なく、いろいろなアルバイトに手を染めるより無かったというのが、実情でしょう。

新垣さんにとっては、私との共演を引き受けたのと、ほぼ同じような感覚で・・・
佐村河内氏の作品のゴーストライターを、気軽に引き受けたのだと、私は思います。

その新垣さんの性格・人柄についてですが・・・
佐村河内氏とは正反対、真逆と言って良いでしょうね。

新垣さんは人を押しのけて、自分がのし上がってやろうなどという野心は微塵もない・・・
本当に善良で、心の優しい人でした。

それどころか彼はお金や名声に対しても、まるで無頓着でしたし・・・
音楽以外の余計な事には、興味が全く無いようにも見受けられました。

実際私が彼と共演をしていたときは、どんな難しい曲を頼んでも・・・
彼はいやな顔ひとつせず、いつも喜んで引き受けてくれましたし。

リハーサルで私がどんな音楽的に厳しい要求を突き付けても・・・
彼は文句ひとつ言わず、いつも快く私の言うことを聞いてくれました。

それと同じように、新垣さんは佐村河内氏のために、ゴーストライターをした際も・・・
どのような耐えがたい、理不尽な要求に対しても、新垣さんは快く応じて、佐村河内氏の意に沿うように、作曲していたのでしょうね。

人の悪口などは、普段は人前では絶対に言わないし、人前に出て話したがることも決してない新垣さんが・・・
先日のああいった記者会見を、開く羽目になってしまったわけです。

おそらく彼にとっては、余程耐えられないようなことが、裏ではあったのではないでしょうか。

それにしても交響曲第一番「ヒロシマ」ですが、あの奇妙でヘンテコな「指示書」をもとに・・・
演奏時間80分の交響曲を、調性音楽として作曲しろだなんて(*_*)

マーラーやブルックナーが生きていた時代ならともかく・・・
この今のご時世では、絶対あり得ない話ですよね!?

もう荒唐無稽を通り越して、常軌を逸しているとしか言いようがありません\(~o~)/

まるで
「紫式部の源氏物語を超越する、後世にのこる歴史的恋愛小説を、1000ページにわたって書き続けろ」
とでも言われているようなものです。

これはもう
「壮大なるジョーク」
「誇大妄想」
として片づけてしまっても良いのではないでしょうか(~_~)

その「パロディ」としか言えないような・・・
さまざまな過去の作曲家のスタイルを、継ぎ接ぎしただけの曲に対して、なかには↓

「もっとも悲劇的な、苦渋に満ちた交響曲を書いた人は誰か? それはベートーヴェンでもチャイコフスキーでもマーラーでもショスタコーヴィチでもなく、佐村河内守である」

とか

「言ってみれば1音符たりとも無駄な音が無い。これは相当に命を削って、苦悩を極めた人からしか生まれてこない音楽」

などと絶賛する音楽評論家の先生が、何人も出てきてしまった始末です。

これには恐れ入りましたね(呆)

まぁこれも本心から作品に感激して、ベタ褒めしたものなのか・・・
はたまた法外な札束を握らされて、心にも無いお世辞を言ってしまったのかは分からないので、何とも言えませんが。

しかしながら佐村河内名儀で発表された作品群のなかでは、「ヴァイオリンのためのソナチネ」だけは唯一・・・
佐村河内氏による、ヘンテコな「指示書」に左右されることもなく(^^ゞ
新垣さんが自発的に、心を込めて作曲したようです。

ですからこの「ソナチネ」だけは(これも調性音楽であるとはいえ)、出来栄えは本当に素晴らしいものであろうと想像しますし・・・
この作品だけは唯一、後世に残ってゆくかも知れませんね!

新垣さんは「ソナチネ」の著作権だけは、放棄することなく・・・
何とか自分の手元に取り戻すことは、出来ないものでしょうか?

いずれにしても新垣さんは、
「音楽を彼から取り上げたら、何も残らない」
というような人間ですから(^.^)

彼が早いうちに、マスコミ等から追われることが無くなり・・・
今後も音楽活動を続けられる環境が、早く整うことを、私は心より願っています。

それから今後は、今回の事件のようなペテン師には(~o~)
二度と引っかからないということも、私は心から願いますね!

奥村智洋
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カテゴリ: 音楽のこと

[edit]

Posted on 2014/02/09 Sun. 22:36    TB: --    CM: 4

この記事に対するコメント

こんばんは
以前に一度投稿いたしました奥村さんのファンのものです。ですのでユーチューブは拝見しておりましたが伴奏が新垣さんだとは思ってもおりませんでした。音楽に挫折しました長女を通じ、またヴァイオリンを勉強している次女を通じ、少しばかり桐朋と縁がありますが、奥村さんをはじめとして、資本主義の世の中のなかで自分を見失わず、地道に音楽と向き合っておられる方がいらっしゃるのですね。お金が集まるところには必ず組織がありますよね。無器用だけど自分の生き方を貫いている善良な奥村さんや新垣さんを私は支持していきたいと思います。

URL | 昭和かれすすき #-

2014/02/12 22:06 * 編集 *

昭和枯れすすき様

コメント有難うございました。
新垣さんや私の立場を、たいへん良くご理解いただいておりますことに、感謝しております。

新垣さんが今回告発に至ったのは、彼にとっては非常に大きな決断だったことでしょう。

ですが今回彼が決断したことについては、100パーセント正しかったと私は思っています。

「告発することを決断したのは、良くやったし、会見でも立派に質疑応答出来ていて、良く頑張ったね」
と、私は彼に声をかけてあげたいですね!

これで18年間も強要され続けていたゴーストライティングから、ようやく解放されたわけです。
今後彼には、自分らしい作品を作曲して、発表していって欲しいと思いますし・・・
何よりも自分らしい音楽人生を、送って欲しいと思いますね。

ご指摘の通り、今売れている音楽家たちのほとんどは、実体や中身がまるでともなっておらず・・・
傀儡、ロボットとして、周りの金儲けの道具にされて、ただ流されている、というのが実態です。

私自身は“売れっ子ソリスト”の路線からは、結果的に大幅に外れてしまいましたが(^^ゞ

その分自分の興味があるレパートリーに、じっくり取り組むことが可能になりましたし・・・
「バッハ:無伴奏全曲CD」の録音に向けても、じっくりと時間をかけて、バッハの音楽の本質を追求することも出来ました。

そういう意味では、私は良い人生を歩んでこれた、と言っても良いかも知れません。

但し学校の非常勤講師の給料は、あまりにも安過ぎるため・・・
貧乏生活からは、抜け出せる見込みが全くたたないのが、困った点ですが(^^;)

URL | OKUMURA #-

2014/02/13 01:06 * 編集 *

便乗

これまた私も息子がヴァイオリンをたしなんでおりまして、桐朋とは少しばかり縁がなきにしもあらずです。私が持っているCDも伴奏、作曲共に新垣氏です。私は売り方があざとすぎて佐村河内さんのスペシャル番組も曲も一度も観たことも聴いたこともなく、どちらかと言えば避けていたのですが、偽ベートーヴェンにしても、障害売りにしても儲けようとしてあおったのはメディアやプロダクションなどですし、それを欲しがっていたのは世間一般ですよね。音楽って本当は一体…、と最近考えてしまいます。商用路線もそれはそれで求められているものなので、それを提供する人間がいて当然なのですが、なんか悲しいです。ともかく私は周囲からは楽器も弾けないのに、音楽なんて解りもしないのに、レアなクラシックばかり聴く変なやつと言われ続ける路線を貫いていきます。

URL | みー #o9mf2Bg.

2014/02/14 10:44 * 編集 *

みー様

コメントいただき有難うございます。
プロモーターやメディアが金儲けを企てて、巧みな仕掛けを施し、それに一般大衆が煽られて乗っかってしまったという意味では・・・
「佐村河内ブーム」も、「韓流アイドルブーム」も、「ボジョレーヌーボーブーム」も、はたまた「茶髪ブーム」も、すべて根っこは同じなんだと思いますね。
私自身はこれらのものには常に胡散臭さを感じますし、興味も全く持てませんが(^^ゞ
私もみー様とクラシック音楽の嗜好は良く似ておりまして・・・
レアな作品を発掘して、披露したいという思いは、常に持っております。
ただ私の周りには
「『チゴイネルワイゼン』『タイスの瞑想曲』『愛のあいさつ』みたいな、分かりやすい曲を、何故もっと弾かないんだ、そうすればお前も売れるぞ」
という声が、絶え間なくあって、本当に辟易してしまいますね(~o~)
こうした「有名曲」を弾かざるを得ないときは、作曲家が誰かのゴーストライティングをする如く(^^ゞ
適当に、ほとんど練習を全くせずに、本番を済ませてしまいますが(^^;)

URL | OKUMURA #-

2014/02/15 00:11 * 編集 *

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